PROFILE
1986年東京都出身。2001年モデルデビューし、海外のプレタポルテコレクションでも活躍。2007年からは女優としても活動の場を広げ、映画、ドラマに数多く出演。主な作品に、映画『プラチナデータ』『真夏の方程式』『オケ老人!』、NHK連続ドラマ小説『ごちそうさん』、ドラマ『花咲舞が黙ってない』『デート~恋とはどんなものかしら~』『偽装不倫』など。本好きでも知られ、2008年から2018年まで放送した、ラジオJ-WAVE『BOOK BAR』でナビゲーターを担当。自身でも執筆活動を行い、著書に『杏のふむふむ』(筑摩書房)、『杏の気分ほろほろ』(朝日新聞出版)、『BOOK BAR:お好みの本、あります。』(大倉眞一郎と共著/新潮社)などがある。現在、手塚治虫文化賞の審査員の他に、TBS「世界遺産」ナレーションも務めている。



荒川弘先生が描く大人気の農業エッセイ・コミック「百姓貴族」第6巻の発売を記念して、ゲストご自身との関連に触れつつ「百姓貴族」の感想を語っていただくインタビュー企画!!
第四弾では女優、ファッションモデルなど多彩な活躍で大人気の杏さんが登場です!




———杏さんがナビゲーターをつとめていらしたラジオ番組『BOOK BAR』で、2015年、『百姓貴族』をご紹介されました。「マンガで人生を学ぶ!?」というテーマの回でしたね。本書を初めてお読みになられたときのことについてお聞かせください。

荒川弘さんの作品はもともと大好きで、『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)や『銀の匙 Silver Spoon』(小学館)なども読んでいましたし、農業や食というテーマにも興味がありました。それで手にとってみた、というのがきっかけです。
私は東京で生まれ育っているので、『百姓貴族』で描かれているような北海道での生活というのは、もう「別世界」みたいで。想像以上にずっと厳しい自然の中で暮らしていらっしゃったんだな、というのが伝わってきて、しかも思いもかけないようなユニークなエピソードもたくさんあって、面白かったのをよく覚えています。

———ラジオでも、杏さん、「自然のレベルや、起きる事件の種類が東京にはない!」とおっしゃっていましたね。
『百姓貴族』第1巻から「本当にこんなことがあるの?」という怒涛のエピソードが盛りだくさんですが、特に印象に残っている話はどのあたりですか?


まずはやっぱり、お父さまの数々のエピソードでしょうか。ものすごく個性的なかたですよね。「ユニークさ」ということで言えば、畑で鮭が獲れてしまうという話(笑)。あと、牛のお乳を搾っているときに猫たちが寄ってくるので、お乳を横にピュッと飛ばすと猫がそれを直接キャッチして飲むとか。実際に見てみたいですよね。


思い返せばすぐにそういう楽しいエピソードがいくつも浮かんできますけれど、私が今でもいちばん気になっているのは、加熱殺菌処理していない牛乳の話です。絞ったままの生乳なので、もちろん出荷はできなくて、飲むときは自己責任で飲むのだけれど、加熱していないからすごくおいしい、と描かれていましたよね。荒川さんのお子さんが飲んで、おいしさのあまり目をむいたって。その味がとても気になっていて……どんな味がするのか、機会があればぜひ生のままで飲んでみたいなと思っています。自己責任で(笑)。


そのほかにも、規格外なので出荷されない、ふぞろいの野菜が実はおいしい、という話もありましたね。そういう現地ならではの食べ物なども味わってみたいです。



———その土地でしか味わえない食のエピソード、確かにそそられます。本書を読んで、食や農業に対してお考えを深められたということはありますか?

ラジオでも話したことですが、私は「兵役」ならぬ「農役」があってもいいんじゃないかな、と。たとえば中学生、高校生くらいの時期に1年間、農場で暮らしてみる。農場で働く方々が、どんな生活をしていて、どんなことを日々考えているのかを現地で実際に体験する。そんな制度があってもいいですよね。これは今でも本気で考えています。
もちろんそうした制度がすぐにできるわけではありませんが、少なくとも『百姓貴族』や『銀の匙 Silver Spoon』を読んだことがきっかけで、農業に興味を持ったという中学生、高校生はものすごく増えたのではないでしょうか。中高生に限らず、小学生からおじいさんおばあさんまで、『百姓貴族』を楽しく読みながら、自然や農業への憧れ、理解を深めた人はきっと多いはず。そこが誰にでも読めてしまうマンガのよさだと思いますし、この作品の魅力のひとつだと感じています。



———杏さんご自身、小説やマンガなどの映像化作品にも多くご出演されています。原作のある作品を演じられるときに、役づくりのうえで特に気をつけていらっしゃることはありますか?

そうですね、いろいろな考えかたがあると思いますけれど、わたしはいつでも原作をすごく大事にしたいというか、原作ファンと原作者のかたをまずいちばんに考えてやっていきたいと思っています。だから原作ものはしっかり読み込みますね。
最近主演したドラマ『偽装不倫』(東村アキコ 著/文藝春秋)も原作はマンガですが、知り合いを通じて偶然、原作者のかたと連絡がとれたこともあり、「わたしで大丈夫ですか?」とお尋ねしたんです。そうしたら、「映像化の話がある以前から、ドラマ化するとしたら、主役は杏ちゃんかなって思っていました」と、うれしいお返事をいただきました。
荒川さんの作品はほとんどアニメ化、実写化されていますから、もしかしたら『百姓貴族』も映像化されるかもしれないですね。

———今回第6巻が出た『百姓貴族』ですが、今後、どんな話を読んでみたいですか?

荒川さんもお子さんが3人いらっしゃるんですよね。「働くお母さん」としてのエピソード、ぜひ読んでみたいなと思います。あと、お子さんがあちらの牛乳を飲んで驚いたという話が本当に面白かったので、都会の子どもが北海道に行くと、どんな反応をするのかにも興味があります。農場での生活について、自然について、子どもがどう感じるのか、もっと見てみたい気がします。
それにしても自然豊かな環境に実家があるって、うらやましいですね。

———杏さんご自身、お子さんにもいろいろな形で自然を体験させたいとお考えですか? たとえば北海道の農場とか、いかがでしょうか?

そうですね、機会があればぜひ行ってみたいですね!



———大人とはまた違った、子どもだからこそのいろいろな発見や驚きがありそうですね。もし北海道にみなさんで出かけるとしたら、あちらでどんなことをしてみたいですか?

ふだん東京で生活していると、地平線を見ることがないですよね。北海道のように遠くまでずっと見渡せる大自然も、冬のものすごい雪も、ほとんど経験したことがないので、もし出かける機会があれば、どの季節であれ、自然をうんと楽しみたいです。
出荷されないふぞろいな野菜も、きっとおいしいでしょうね。北海道出身の友人が結構いて、みんな故郷からじゃがいもとかアスパラとか送ってもらっているんです。それをおすそ分けでくれることがあるんですけれど、やっぱりどれもすごくおいしい。野菜は何でも大好きなので、新鮮で味わいのある野菜をいただきたいです。

———杏さんの「北海道・農場探訪」、実現するといいですね! その模様をマンガでも読んでみたい……なんて妄想がふくらんでしまいます。

私、マンガの中に登場するのとか、すごい夢なんです。この間『偽装不倫』のおまけマンガに載せてもらったのですが、漫画家のかたに自分を描いてもらえるのって、うれしいですよね。機会があればぜひ!(笑)

———最後に、『百姓貴族』ファンにひとことメッセージをお願いいたします。

待望の6巻、出ましたね。みなさんこの瞬間が待ち遠しかったことでしょうし、今は「やっと読めるぞ!」というお気持ちだと思います。私自身、アマゾンに「予約注文」で出ていたのを見つけたとき、「ああ、もうすぐ出るんだ」とうれしくなりました。
 荒川農園も少しずつ変わってきていますけれど、そういう変遷を感じられるのも、作品と長く付き合うよさですね。お父さまや荒川家の人々と再会できたことを、みんなで喜びましょう! 

———ありがとうございました。


聞き手・彌永由美
撮影・木村健太郎

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