椅子職人ヴィクトール&杏の怪奇録

杏のバイト先のオーナーは椅子オタクで、死にたがりで人類嫌いの変人美形で、おまけに店にはアレが出る……?
ヴィクトールの語る椅子談義も楽しい、ふんわりオカルト&ほんのりラブ♡
【ストーリー】
11月初旬の土曜。杏とヴィクトール、小椋、雪路という、室井を除いた「TSUKURA」の面々は、隣町の宇里川町にある文化センターに来ていた。来月に閉鎖されるというこの施設で使用されていた、家具類を買い取るためである。ヴィクトールの友人で、家具工房「MUKUDORI」のオーナー・星川仁も同行していた。
小椋の話術もあり、交渉相手の湯沢、久保田らとのやりとりは円滑に進む。だが、遅れてやってきた米沢がたくさんの不気味な子どもたちをまとわりつかせているのを、杏と雪路だけが目にしてしまう。ようやく交渉が終わる頃、遠雷とともに雨が降り始めたことから、荷物の運搬は後日にして一行は米沢の経営する喫茶店へ移動することに。幽霊が付いてこないことに安堵しつつ、杏たちは文化センターを脱出する。
喫茶店に到着した頃には外は土砂降りだった。そこで腰を落ち着けた大人たちは、無駄話を延々と続ける。家に帰れない杏と雪路は、米沢の娘らしい於十葉の秘密をはからずも見てしまったり、高校の共通の友人の話などをしながら、退屈をやりすごしていた。だが、やがて謎の不安感と嫌悪感に駆り立てられるようにして、二人だけで文化センターへ戻ってきてしまい……?
Characters
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高田 杏(たかだ・あん)
オリジナルチェアを扱う「柘倉(つくら)」、及びアンティークチェアを扱う「TSUKURA」の両店舗でバイトをする高校生。霊感体質。
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ヴィクトール・類・エルウッド(ゔぃくとーる・るい・えるうっど)
椅子工房「柘倉」及び「TSUKURA」のオーナー兼職人。霊を感じ取れるようになりつつある?
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島野雪路(しまの・ゆきじ)
椅子工房「柘倉」及び「TSUKURA」の職人見習い。杏とは高校の同級生。霊感体質。
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室井武史(むろい・たけし)
椅子工房「柘倉」及び「TSUKURA」の職人で、工房長の弟子。霊感体質。
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小椋健司(おぐら・けんじ)
椅子工房「柘倉」及び「TSUKURA」の工房長。霊感体質。
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星川 仁(ほしかわ・じん)
家具工房「MUKUDORI」のオーナー。ヴィクトールの友人で、よく厄介ごとを押し付けてくる。
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米沢(よねざわ)、湯沢(ゆざわ)、久保田(くぼた)
『緑の宇里川町復業協同組合』の面々。「TSUKURA」「MUKUDORI」への家具類売却対応にあたる。
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和希(かずき)
米沢の息子・英治の妻。二十代後半くらい。妊娠中。『カフェ&食堂 H&G』の店員。
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於十葉(おとは)
米沢の娘? 杏や雪路と同年代。3Dラテアートが上手。
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雫とその母親
雫の父親が母親に暴力を振るったため、親子で宇里川町の施設へ避難。買い物途中、車がパンクしたことと大雨が降ったことから、『カフェ&食堂 H&G』へ雨宿りに来た。
お知らせ
ウィングス文庫「椅子職人ヴィクトール&杏の怪奇録⑥ 遠雷、そして百年の恋について」は2023年初夏頃発売予定です。
次回・第七話につきましては、配信が決まりましたらウィングス編集部Twitterアカウント(@Wings_Official)等でお知らせしますので楽しみにお待ちください。
先生からのコメント
樹の形をそのまま残したようなスツールを手に入れて、密かにテンションが上がっています。室内に椅子がじわじわと増えていきます。